スマートエデュケーション

本研究室では、スマートエデュケーションをキーワードに、教育環境の新しい形を研究していきます。

これまでにiTLの学生が扱ってきた研究には次のようなテーマがあります。

  • 防災・減災教育(減災伝承AI、伝承のクイズ化)
  • 情報セキュリティ教育(教材づくり、演習環境の拡張、演習シナリオの生成)
  • プログラミング教育(教材づくり、カリキュラムの検討)

防災・減災教育(減災伝承AI)

災害の記憶や記録の伝承に生成AIを活用する取組です。日本の各地で作成されている災害記録誌や地域防災文書を収集し、発災時に何を注意するべきか市民・行政双方の立場に役立つようにする試みです。記録誌のデータを抽出してベクトルデータベースに登録し、Retrieval-Augmented Generation(RAG)により発災時に注意すべき情報を提示します。

もともと須藤先生の東京財団政策研究所のプロジェクトの中で静岡県静岡市で市民・行政の方にもご参加頂いたワークショップを2年間にわたり実施してマルチステークホルダープロセスを意識した開発を進めました。

その後、静岡大学 望月先生、辻本先生の研究プロジェクト「伊豆半島沿岸域における津波対策に関する研究-地域社会学・民俗学の視点から-」の中で静岡県西伊豆に合わせた進化版を作成しました。民俗学の先生、社会学の先生からの異なる学術分野からの目線で助言を頂き、その土地に根ざした伝承のあり方を模索しています。単純にAIにデータを与えれば済むわけではないという所に難しさとやりがいがあります。

伝承をクイズにする

集めた伝承を、そのまま読んでもらうのは簡単ではありません。そこで、生成AIとゲームエンジンを組み合わせて、伝承からクイズを自動で作る試みも進めています。

災害伝承AIクイズの画面。1923年の関東大震災の際に静岡県東伊豆町稲取の海岸で起きたことを三択で問うている

たとえば「1923年の関東大震災のとき、東伊豆町稲取の海岸ではどんなことが起きたと伝えられているか」を三択で問い、答えると、その土地に残る証言をもとにした解説が返ってきます。正解は「岸から今の堤防があるあたりまで、海底を歩いて渡れるくらいに潮が引いた」。

教科書の「津波の前には潮が引くことがある」という一文が、その土地の情景として立ち上がります。読むだけの資料を、手を動かして確かめられる教材に変える。防災教育の側から減災伝承AIを支える取り組みです。

関連URL

情報セキュリティ教育

情報セキュリティの被害に遭ったことのある人は実はかなり多く、若年化も進んでいます。 小学校から高校の「情報」の授業までで、決して扱いが大きくない「情報セキュリティ」をどのようにして伝え、行動に移してもらうべきかを研究しています。 ノベルゲームエンジンと生成AIを組み合わせて、学習者の反応に合わせた表現・展開ができるように研究を進めています。

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演習シナリオを生成する

セキュリティを学ぶには、実際に手を動かす演習が要ります。しかし演習のシナリオを人手で書き起こすのは負担が大きく、内容も作り手の経験に左右されます。

そこで、既存の資料をAIに読ませて演習シナリオの生成を支援する枠組みを研究しました。この成果をまとめた論文は、情報処理学会 論文誌ジャーナルの特選論文に選定されています。

  • 「RAGを用いたサイバーセキュリティ演習シナリオ生成フレームワークの提案」津田敦哉, 清雄一(電通大), 松崎和賢(2026.8 情報処理学会論文誌ジャーナル Vol.67 No.8)

演習環境そのものを拡張したり、教材を作ったりする取り組みも並行して進めています。

プログラミング教育

プログラミング教育の必修化にともない、教材をどう作るか、カリキュラムに何が足りないかという問いが各所で生じています。本研究室では、教材の作成とカリキュラムの検討に取り組んできました。民生用のドローンを使った教材づくりなど、手を動かして確かめられる題材を重視しています。

「言語に頼らず、わからないという苦痛なく、問題解決能力を育成することは可能か」という問いは、日本の教室でも同じように立てられるものだと考えています。